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保田 諭; 内堀 揚介*; 分島 亮*; 日夏 幸雄*; 小河 浩晃; 矢野 雅大; 朝岡 秀人
RSC Advances (Internet), 8(66), p.37600 - 37605, 2018/11
被引用回数:12 パーセンタイル:42.2(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、酸素還元活性サイトである、Fe原子が窒素ドープナノグラフェンに配位結合したFe-N-C活性サイトを、高比表面積の垂直配向カーボンナノチューブ(VA-CNT)表面に担持し、酸素還元反応(ORR)活性なFe-N-G担持/VA-CNT(Fe-N-G/VA-CNT)触媒を開発する設計指針を得る。これまで、FeおよびNを含む鉄フタロシアニン分子を前駆体とし、VA-CNT表面に吸着させ焼成することによりFe-N-G/VA-CNT触媒の開発に成功してきた。本申請案では、Fe-N-C構造形成のカギとなる触媒焼成条件がORR活性能に与える影響について精査した。その結果、短時間加熱と急冷を繰り返すプロセスでは、任意の繰返し数において、Fe-N-C活性サイトの構成元素であるFeおよびN原子の熱脱離が抑制され、Fe-N-C構造の質量密度の増加によるORR活性能の向上が観察された。この結果は、焼成時における熱履歴を制御することで高活性化が可能であり、非白金系ORR触媒実現のための設計指針を得ることができた。
太田 智紀*; 萩原 時男*; 杉本 雅樹; 山本 春也; 越川 博; 八巻 徹也
no journal, ,
固体高分子形燃料電池は次世代のクリーンエネルギーシステムとして注目を集めており、その製造コスト削減に向けて白金に代わる触媒の研究が盛んである。含窒素炭素系触媒は白金代替材料として期待されているが、触媒性能の発現に必要とされる窒素をグラフェン炭素に効率よく導入できる作製方法は確立されていない。本研究では、炭素源のフェノール樹脂をアンモニア中で電子線照射しながら炭素化することで、より高濃度に窒素を導入できると考え、雰囲気を制御し300C以上の高温下で電子線照射が可能な装置開発を行った。その結果、2MeV電子線の吸収による発熱や、雰囲気ガスの除熱に影響されずに、設定温度に対して2Cの範囲で照射可能であることが確認できた。
太田 智紀*; 八巻 徹也; 杉本 雅樹; 山本 春也; 越川 博; 萩原 時男*
no journal, ,
燃料電池カソードに用いられる白金触媒の代替材料として、炭素系触媒が期待されている。炭素系触媒の酸素還元反応(ORR)活性は、グラフェン状炭素の一部が窒素原子に置換した構造に起因すると考えられている。そこで本研究では、窒素導入量の制御を目指し、アンモニア(NH)下での電子線照射によって炭素系触媒への窒素の導入を試みるとともに、そのORR活性を評価した。実験ではフェノール樹脂に塩化コバルト(II)を最大10wt%で添加した試料を炭素源とした。1vol% NH/N雰囲気下で400Cまで加熱しながら2MeVの電子線を6MGyまで照射し、その後でN中、800C焼成して炭化した。粉砕した試料から塩酸で残留コバルトを除去した後、回転電極法でORR活性を評価した結果、酸素還元電位は0.72V(vs. Ag/AgCl)であった。この値は白金の0.78Vに匹敵する高い値であることから、NH下での電子線照射により、ORR活性を有する含窒素炭素系触媒を作製できた。
杉本 雅樹; 太田 智紀*; 山本 春也; 越川 博; 八巻 徹也; 萩原 時男*
no journal, ,
白金代替材料として期待される炭素系触媒の酸素還元活性は、グラフェン状炭素の一部が窒素原子に置換した構造に起因している。しかし、有機高分子と含窒素化合物との混合物、あるいは含窒素高分子を炭素源として焼成する方法では、炭素のグラファイト構造と窒素導入量はどちらも焼成温度により変化し、それぞれを独立に制御することは困難である。そこで本研究では、アンモニア(NH)下での電子線照射により、炭素系触媒への窒素の導入を試みた。試料は、グラファイト化を促進する塩化コバルト(II) (CoCl)を最大10wt%添加したフェノール樹脂に、1vol% NH雰囲気、400Cで加熱しながら2MeV電子線を6MGy照射した後、N中、800Cで焼成することで作製した。X線光電子分光スペクトル測定の結果、CoCl無添加のフェノール樹脂から得られた炭素粉末にはほとんど窒素が認められなかったのに対し、5wt% CoCl添加の場合には窒素の原子分率は0.5%であった。CoCl添加フェノール樹脂を原料としてNH下で電子線照射するという新しい手法によって、窒素を導入することができた。